西川氏: 最近どうですか? おっさん: まぁ、ぼちぼちやな。 西川氏: NASAでの研究は進んでいますか? おっさん: 何やしょーもない。 そんなもん 進んでるに決まってるやんけ。 西川氏: 確か流れを解析するプログラムの スピードを上げるみたいな研究でしたよね。 おっさん: その通りや。 スピードを上げるといっ ても、しかし単純な話ではないぞ。 お前のようなアホやったら、スピードを上げたかったら速いコンピュー ターを買うとか、何百台のコンピューターに分担させて計算すればいいとか、そういう単 純なことしか思いつかんやろ。 しかし、そんなもんはあまりにも浅はかな考えであって、 そもそも研究でも何でもないわ。 西川氏: どういうことですか? おっさん: 例えば、一つの流れを計算するのに 100万回の掛け算が必要だとするやろ。 確かに、10倍速いコンピューターを使えば 10倍のスピードアップやし、10台のコンピュータで分担して計算すれば10倍速くなる。 しかし、100万回は100万回のままや。 ある意味、「一生懸命がんばって」スピードを 上げるみたいなもんで、その努力は認めるけども、もっと根本的なところを改善せないか ん。 西川氏: たとえば? おっさん: たとえば、引越しで 1000個の荷物を運ぶ必要があるとする。 どうやって引越しを早く行うか考えてみろ。 一つは、ものすごい速さで、例えば超音速戦闘機で1000回往復すれば早く終わるやろ。 又は、ムキムキボーイを1000人雇って1000個の荷物を一気に運べばあっという間に 終わるやろう。 しかーし! そんなんアホやろ? 戦闘機一回飛ばすのに どえらいお金がかかるし、ムキムキボーイが1000人も集まったらコワイがな。 そんなんアホやん。 西川氏: なるほど。 おっさん: 要するに、まずその1000個の荷物を 減らす努力をせないかんというこっちゃ。 小さな荷物ならいくつかまとめるとか、いら んもんは捨てるとか、又は多くの荷物を一つのトラックに詰め込んで「一つの荷物」とし て運ぶとか。 それこそがスマートな方法というもんや。 100万回の掛け算も、スマー トな方法で可能な限り減らすことや。 そこに頭を使ってこそ研究というものや。 それがわしのNASAでの仕事や。 西川氏: でも、その仕事は難しいらしいです ね。 おっさん: そらそうやがな。 NASAではすでに3度試みたらしいが、全て失敗に終わったようや。 わしの仕事で4度目らしいわ。 4度目の正直という言葉はないが、 無いなら作るしかないわな。 西川氏: (成功するつもりなんや) へえ、 ガンバってください。 応援してます。 おっさん: 応援なんかいらんわ。 わしに できないことはない。 難しい問題ほど、あっと驚く簡単な方法で解決してやる。 それがワシリューや! はっはっはっは!
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